ZEROroom

こんにちは。自分のコレクションの中から、松本零士大先生の本などを中心にアニメや漫画関連と共に自分の絵などをUPしていきますのでヨロシク♥

戦場まんがシリーズ 全9巻  SScomics 小学館

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第1巻 スタンレーの魔女

今日は、「スタンレーの魔女」をご紹介しようと思います。

 

ースタンレーの魔女ー

私の名は、ファントム=F=ハーロック、航空探検家として世界の空を飛ぶことが、私の生涯を賭けた夢だった・・・

私は天涯孤独・・妻も子も友人もおよそ、血とか友情のつながりのある者はいない・

私の、血を分かち合った肉親は・・生死を共にした友人は・・飛行機だけだ!

そうだ、もう一人いた・・残酷な友人が・・・

あれは、オーストラリアのポートモレスピーからニューブリテン島ラバウル

飛んだ時のことだ・・・。

燃料を満載した愛機『わが青春のアルカディア号』は、その日重かった・・・

高度の取れない愛機の目前に、忘れもしないスタンレーの山々が絶望的に高くそびえ、行くてをさえぎっていたのだ・・・

私と『アルカディア』は、飛びぬけられる谷あいをもとめ、ゆるされるかぎりの

迂廻路を探して力の限り飛んだ・・・

しかし、スタンレーの山々は冷たく、身じろぎもせず我々をつきはなしたのだ・・・

私と『アルカディア』は生涯において、ただ一度、空で敗北を味わった・・・

無念の涙をのんでひきかえす私が、ふと、ふりかえった時・・山が笑っていた!!

さながら魔女のように、冷ややかに無力な人間の敗北をあざ笑っていたのだ・・・

私の名は、ファントム=F=ハーロック・・・私はスタンレーの魔女に敗れた男だ・・・

          -ファントム=F=ハーロック

 

 落ちこぼれの兵士7人組。敷井と言う一人の兵士は、「スタンレーの魔女」と言う「ファントム・F・ハーロック」著書の本を何度も読み返し愛読していた。敷井は、「スタンレーの魔女」に逢いたいと思っていた。

 ほかの隊員たちは、スタンレー山脈を越えてポートモレスピーへ爆撃へ行っていた。敷井を含む7人は、よく飛行機を壊す連中らしく、なかなか活躍できなかった。

 やっと、出撃命令が出たが、寄せ集めの部品ででっち上げた様な機体だった。この機体でスタンレー山脈を越えて、ポートモレスピーへ攻撃に行かねばならなかった。

 零戦に護衛されながら、スタンレーを超えた。片道だけ・・。

もう少しで、敵地の爆撃地点だが、敵からの激しい攻撃に合う。零戦に庇われながら、敷井たちは、爆弾を敵地へ投下。傷つきながらもようやく引き返す事ができたが、またスタンレー山脈を越えなければならない。

 一機残った零戦は敵機に撃墜された。敷井たちの機体も攻撃されると思いきや、敵のパイロットはスタンレー山脈を指さし攻撃せずに引き返して行った。敵は、スタンレーを越せないと知っていた。「越せるものなら越して見ろと・・・」

 敷井は叫んだ「スタンレーを意地でも飛び越えて、生きて帰ってみせるぞ!ハーロックのようには負けない!」

 機体の高度を上げてゆく。高度千五百・・二千五百・・五千・・。ここで、機体は重く越えられないと思ったが、機体は底を擦りながらやっと、スタンレーを超えた。敷井は、感極まった。ハーロックも越えられなかったスタンレーを見事に超えて生きて帰れた!スタンレーの魔女に勝ったと・・。-が、敷井がコクピットから後ろを振り返ると機体には誰も乗っていなかった。

 みなが、機体から飛び降り、重量を軽くしたのだった。

「みんなで力を合わせてスタンレーの魔女に勝ったとおもったのに!!」

 敷井は、泣きながら愛読書「スタンレーの魔女」を投げ捨てた。

 スタンレーの魔女は笑っていた・・。

 

あらすじはこんな感じです・・。

読んだ方は解ると思いますが、映画「わが青春のアルカディア」の冒頭シーンででてくる「ファントム=F=ハーロック」のシーンと重なります。

本の方では敷井一兵士が、戦場の中でも「スタンレーの魔女」という一冊の本を愛読し、いつか自分はスタンレーの魔女に勝つんだと夢をはせ、

「わが青春のアルカディア」では、ハーロックとトチローを結びつける本でした。

漫画の中で、敷井という若い兵士が、明日をも知れない戦場の中で、一冊の本の中に男のロマンと夢を追います。

このあらすじでは伝わらないかも知れませんが、戦争というつらい境遇の中でも夢を追う若者はたくましくも哀しく想いました。そして、スタンレーに命がけで挑み結果仲間の命の犠牲で成り立った勝利でした・・。男の夢と友情・・。登場人物たちは、決してハーロックのようなかっこいいキャラではありませんが、胸にぐっときます。これが、戦争でなければ・・、失敗してもまた挑戦できます。戦争であるがゆえに命がけでスタンレーを越えて生きて戻らねばなりません。命を捨ててまでも・・・。

この戦場まんがシリーズはどのストーリーも、戦争であるが故の哀しさが伝わってきます。

興味をもたれた方がいてくれれば嬉しいです。

 

8月は、哀しい月です。追悼の心で戦場まんがシリーズを紹介してゆきたいと思います。

次は、第2巻を紹介します。

戦争で亡くなられた方たちに心から祈りを捧げます。